トップコラム【上昇気流】政策論争深まらぬ総選挙

【上昇気流】政策論争深まらぬ総選挙

街頭演説を行う石破茂首相=22日午後、愛知県岡崎市

27日の投開票を前に、与党の苦戦が伝えられる衆議院選挙。重要政策が争点としてほとんど浮かび上がってこない。自民党の裏金問題を徹底的に追及し、懲罰選挙にしようという野党の狙いがあるためだ。

早期解散に踏み切ったものの、逆風の強さを過小評価していたと気付いた石破茂首相。演説で裏金問題を謝罪し、「決別」を強調する。しかし結局、この問題が最大争点という印象を与えるジレンマに陥る。

与党過半数割れの予想も出て、今度は「あんな人たちに国を任せるわけにいかん」と野党に対するネガティブキャンペーンを展開。負のスパイラルを描くようで自民には良くない展開だ。

重要な政策課題をそっちのけに、裏金問題ばかり争点にするのだから論争が深まるわけがない。マスコミ報道がつくり出す空気で投票すると考えているのだとすれば、有権者を愚弄(ぐろう)するものだ。

懸案が山のようにあるのに、各党特に自民と立憲民主党の政策の目玉が見えてこない。わずかに国民民主党とれいわ新選組が、その是非は別として目玉がくっきりしている印象があるくらいだ。

ウクライナ、中東で戦争が続き、極東の安全保障環境がますます厳しくなる中、安保・防衛、憲法改正をどうするのか。人口減や少子高齢化への対策も待ったなしだ。さらに防災、安定的な皇位継承の問題など国の根幹に関わる政策が問われている。各党はこれらの課題にどう対処するのか、選挙最終盤で訴える責任がある。

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