トップコラム【政界一喝】石破氏は野党に利用されるな

【政界一喝】石破氏は野党に利用されるな

石破茂首相の政権支持率が28%(時事通信社、対面調査)など極めて低い。同調査の自民党支持率は19%で、これらを足すと47%。政権は発足するや否や、いわゆる青木率(政権と党支持率を足して50%以下で政権危機)に引っ掛かった。

2010年代の第2次安倍政権の頃から、大手メディアの世論調査は、石破氏を次期首相にという結果を伝えてきた。満を持してこのたび、その石破首相の実現を見たが、不思議にも、各社の数字に上下はあれど、発足時、政権は歴代最低支持率との報道が続く。この結果の要因やからくりは何か。

要因は、まず公約を軽んじたことだ。石破氏は衆院解散に先立ち、国会で予算委員会を開催し、首相以下、閣僚らが野党の質問に答えながら、政権の在り方について判断材料を国民に示すと明言した。それを有言実行すべきだった。

長期にわたり支持率が低迷し、国民の信頼を完全喪失した岸田文雄前首相の政策を継承する、としたことも大いにマイナスだ。評価に値する個別具体的な政策を挙げ、「国民の共感と納得」に努めるべきだった。

からくりもある。石破氏を次期首相にと世論調査で数年来、答え続けた人々に、野党支持者が多数含まれたことを明確にしておきたい。自民党内野党と目された石破氏を、野党の立場からも推す―これは彼らの当然の願望だ。

だが、自民党員のみが党総裁選で総裁を決定する、との意識を持つ自民支持層において、石破氏を次期首相にと、メディアの世論調査で毎月の如(ごと)く連呼されると、意外と党内にも石破氏支持が広がっているのか、との錯覚をもたらす。

果たして今日、石破政権が発足した。世論調査で次期首相は石破氏がよい、と何年も回答し続けた相当数の野党支持者は目的を実現している。では彼らは今日ここで、石破政権の支持を表明するだろうか? ほとんどは、否だろう。

衆院選が真っただ中の今、立憲民主党の野田佳彦代表は「政権交代」を訴える。石破氏が首相のうちは、野党と相通ずる政策を形にし、選挙があれば、政権交代を狙う、そんな腹積もりだろう。

野党の思惑は、メディアも後押しする。国益とは限らない独特の目的志向を持ち、言論界と大衆への影響力保持を狙う朝日新聞が、政治資金不記載について角度をつけて言い始めた「裏金」という言葉。これが今、衆院選の至る所で、大手を振って闊歩(かっぽ)している。

決めつけだ、不記載だ、と抗弁しても力なく、むしろ俺には当たらないよ、という自己正当化の想(おも)いを胸に、石破氏は裏金印(じるし)をもう一度押して、党内同志であるはずの旧安倍派の11人を非公認、32人を比例重複除外に処し、生贄(いけにえ)として世に放り出した。

片や、民主党政権(2009-12年)での鳩山由紀夫元首相の使途不明金12億円や、小沢一郎・元幹事長の虚偽記載20億円の疑惑をはじめ、立憲の「裏金」系譜については、党首討論でも抗論する機会をみすみす逃した。

メディア報道も扱い不公平に、ついぞ不問に付したまま石破氏は、自公で議席過半数の維持を、などと防戦一方に陥り、これもままならない情勢だ。

石破氏は野党に利用されていてはいけない。自身を律し、正当に自民党総裁、首相職を追求せよ。(駿馬)

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