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小野路宿・布田道を歩く

町田市小野路町の公園の散策路

東京都町田市北部の丘陵地に美しい里山の道が残っている。先週、主宰する「街道歩きの会」の仲間と新選組近藤勇が通ったという小野路・布田道を歩いた。

小田急線の鶴川駅からバスで20分。東京都とは思えないのどかな谷戸(やと)の風景が広がっていた。

道端には彼岸花。「今日も元気でがんばりましょう」と書かれた看板の下には無人販売の野菜が並ぶ。早速、珍しい瓢箪(ひょうたん)カボチャをゲットし、農道を進む。

しばらくすると、ひときわ大きなムクロジの木。足元にはたくさんの黒い実が落ちていた。小さい頃、ムクロジの実で羽根突きを作り、遊んだことがあると年配の女性が教えてくれた。

緩やかに曲がる布田道を進むと、鬱蒼(うっそう)とした竹林の切り通しの峠道に差し掛かる。昔の関所で「関屋」と書かれた手作りの案内板には「此の道は布田道にて、近藤勇らが通いし道に御座候」とある。地元の人の手によって、この古道や谷戸の里山が管理、維持されているのだろう。歩いていると地元愛がじんとくる。

布田道から車道に出ると小野路宿である。大山参りの旅人が立ち寄った旅籠屋が6軒。その一つ「角屋」を改装した、小野路宿里山交流館に立ち寄った。同館長の山崎凱史さんが小野路の景観を何とか残したいと、2013年に地元有志らと街づくりに着手。そこから里山の古(いにしえ)の道が整備されていったと聞いた。

ちょうど去年の今頃、多摩川源流部の山梨県小菅村に立ち寄ったことがある。人口700人ほどの村とは思えないくらい、小菅温泉や道の駅は賑(にぎ)わっていた。働き手はみな年寄りだが、地元愛に溢(あふ)れていた。

民間有識者による「人口戦略会議」の将来分析では50年までに全国自治体の4割(744)が消滅するという。果たして、そんなに簡単に消滅するのだろうか。そこに成長できる種を見つけ、地域の力で育てていけば意外にしぶとく生き残っていけるのでは?そんな思いを強くした。

(光)

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