Homeコラム【上昇気流】旅の醍醐味知る欧米の観光客

【上昇気流】旅の醍醐味知る欧米の観光客

観光庁によると、訪日外国人による消費額が1~9月の累計で5兆8582億円に達し、昨年の累計5兆3065億円を上回り、早くも年間最高額を更新した。9月の訪日客の数もコロナ禍前の2019年9月の26・4%増となる287万2200人で月間で過去最高を記録した。確かに東京の繁華街や駅でそれを実感する。

03年の小泉純一郎内閣時代、「観光立国」が宣言された。続く政権もそれを踏襲し、07年には観光立国推進基本法を施行。インバウンドと観光収益の増加に力を入れてきた。

コロナ禍後は、地方への誘客、モノ消費からコト消費への転換などが言われる一方で、オーバーツーリズムという問題も起きている。真に観光立国となり得るか、これからが正念場だ。

観光立国というからには、国の重要産業となり、社会のさまざまな課題もそれとの関係で解決するということもあり得る。地方の人口減、赤字ローカル線の存続問題などに対し、インバウンドをテコにした産業の活性化、地方創生も浮かんでくる。

外国人観光客が日本の地方の魅力を発見する能力は日本人以上のようにも思われる。数年前、初めて熊野三山(さんざん)に詣で、そこで本格的な古道巡りをする外国人観光客を多く目にした。

バスで点を辿(たど)っただけの気流子としては忸怩(じくじ)たる思いが残った。外国人とくに欧米の観光客は旅の醍醐味(だいごみ)を知る人が多い。そんな観光客が地方の魅力を引き出してくれる可能性は十分ある。

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