
スポーツの日は1964年の東京五輪を記念し、その2年後に「体育の日」として制定された。五輪が開かれた60年前と比べて日本人の体格は遥(はる)かに向上したが、体力の方は必ずしもそうではない。
スポーツ庁が行った体力・運動能力調査で、10歳男子のボール投げは、64年度に30メートルを超えていた平均値が93年度には27・10メートル、今回発表の2023年度は21・90メートルにまで落ちていた。握力も93年度に比べ低下している。
体格が良くなっているのに体力・運動能力が落ちているのはなぜか。素人の見立てだが、外で遊ぶより部屋の中でゲームに親しむ時間が多くなれば当然だろう。学校で体育の授業を受けていても、やはり日ごろの生活習慣の影響は大きい。
今回の調査では、30~40代の女性の運動不足と体力低下の傾向も表れている。「週に1日以上運動する」とした女性は30代で3割、40代で3~4割にとどまった。体力測定の合計点も他の年度に比べ低くなっている。働く女性が増え、運動する時間も取れなくなっているのだろう。
女性の30~40代は、子育て真っ最中の年代である。子供を抱っこしたりして筋力も付き、最も体力が充実する。子供を相手にしていれば、自然と運動になった。しかし、結婚しない女性、家事や子育てをしない女性も増えてきた。
世代を問わず、日常生活の中でもっと体を動かす方向に向かわなければ、体力は低下の一途をたどるのではないか。生活習慣の見直しが必要だ。