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【上昇気流】IOC会長選挙に日本人

国際オリンピック委員会(Wikipediaより)

国際オリンピック委員会(IOC)の会長選に、国際体操連盟(FIG)会長の渡辺守成氏が名乗りを上げた。会見で「欧州中心のIOCから、本当の意味での国際機関に変革すべきだ」と訴えた。

巨大化した五輪は金銭面で頼っているスポンサーからの自主性が保てなくなっている面もある。世界を見渡すと、若者たちのスポーツ離れが著しく五輪の意義も問われ、渡辺氏は「ボトムアップの五輪をつくりたい」と。IOC会長はドイツ人のバッハ氏が9代目で、欧米以外の出身者はいない。

元IOC委員の猪谷千春氏は、IOCについて「日本の経済力をもってすれば、もっと役員として指導力を発揮したり、若く有能なひとたちが国際舞台で手腕を揮ったりしてもおかしくない」(著「IOC」)と書いている。

分野は違うが、2009年から10年間、国際原子力機関(IAEA)事務局長を務めた外交官の天野之弥氏を思い出す。当時、在ウィーン国際機関日本政府代表部大使で、選挙の結果就任が決定。日本人初のポストだった。

天野氏は北朝鮮やイランの核問題への対処など国際的な核不拡散に精力的に取り組み、「平和と開発のための原子力」の利用を掲げた。このために東奔西走してIAEAの存在を確かなものにした。

IOCの課題も決して小さくない。会長選は来年3月。その「前哨戦」で渡辺氏は今月下旬予定のFIG会長選をまずクリアしなければならない。健闘に期待したい。

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