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秋になって肌寒い風が吹くようになった。街路のケヤキの木も路上に少しずつ枯れ葉を落としている。実りの秋はまた物思いを誘う。こんな時には、どこかへ旅に出掛けたくなるかもしれない。
誰でも少年時代は冒険に心奪われる。思い出すのは、米国を代表する作家マーク・トウェインの小説『トム・ソーヤーの冒険』。少年の心をわしづかみにしたのがトムの数々のいたずら。
テレビドラマでも、ドキドキしながら見ていた。トムのようにいたずらをし、冒険をしてみたいと思ったものである。
トウェインの代表作は『ハックルベリー・フィンの冒険』だが、こちらの方は「トム・ソーヤー」ほどには心が躍らなかった。トムが少年時代のいたずらとすれば、ハックルベリーの冒険は本格的なもので、それは少年が成長していく物語である。いたずらを超えて社会風刺や人種差別の問題も含まれている。
そのハックルベリーが主役のミュージカルを見たことがある。1988年の「ビッグ・リバー~ハックルベリー・フィンの冒険~」だが、主役を演じたのが真田広之さんだった。それまでは印象があまりなかったが、この時の演技には圧倒され、その存在感を胸に刻まれたことを覚えている。
その後、真田さんはハックルベリーのように冒険をして日本から米国へ渡り、今年の第76回エミー賞で、主演ドラマ「SHOGUN 将軍」が作品賞、主演男優賞など18の賞に輝いた。1960年のきょうが誕生日である。