トップコラム【上昇気流】石破茂という「孤高」

【上昇気流】石破茂という「孤高」

石破茂自民党総裁

石破茂首相が「アジア版NATO」構想を説いている。自民党総裁選の論議の中でも述べており、思い付きの問題提起ではないだろう。迫り来る「核脅威」から国民の安全を確保するため「核共有」を検討すべきとの思いがその背景にあるようだ。

石破氏は昨年2月の衆院予算委員会でも当時の岸田文雄首相に対して「非核三原則に抵触しない形でもそれは可能」と求めたが、岸田氏は「政府として議論することは考えていない」とにべもなかった。というより金科玉条の非核三原則を盾にしての逃げだった。

それで安全を確保できればいい。しかし、現下の状況は予断を許さないところまで来ている。岸田氏が、せめてそれに向けた苦悩の一端なり将来に向けた布石の一言でもにじみ出れば、まだ救いはあったが。

お隣の韓国では北朝鮮の核脅威に対抗して、「NATO式核共有」には至らないが米国との協議でそれに準ずる形で核戦略への関与を深めつつある。こうした安全保障の枠組みを変える提案を一国のトップが問題提起するのは異例ではある。

石破氏の主張、政策論は良くも悪(あ)しくも論理的合理性を踏まえたスジ論が特長だ。過去の政治行動にも反映したその「孤高さ」ゆえか、永田町では不評を買った。

問題は実行力だ。総理となって評論家的な言辞だけでは済まされない立場となった。政治評論家の高橋利行さんではないが「『嫌われ者』の本領を貫けるか」(9月30日付小紙)であろう。

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