よく「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるが、今年の東京は9月22日の「秋分の日」を境にめっきり秋めいた。9月に入っても最高気温は3日と16日(いずれも29度)を除き30度以上の真夏日が続いていたが、22日以降は30度まで届かない。
最低気温の方がもっと顕著だ。23日に6月22日以来ほぼ3カ月ぶりに20度を下回り、4日間続いた。週末からは20度を超えているが、夜間の気温が25度以上となる熱帯夜にはならず、外に出ても涼しく感じる。ありがたいことだ。
ところが能登半島は、この季節の変わり目に、今年の正月の大地震に続いてとんでもない大雨に見舞われた。
輪島市中部付近で、21日午前9時10分までの1時間に120㍉の降水を記録するなど、輪島市、珠洲市、能登町を中心に「これまでに経験したことのないような大雨」が降って、気象庁はこの2市3町に大雨特別警報を発表した。今回は特に、台風14号上がりの温帯低気圧まで偏西風に乗って22日午前に半島を襲い、輪島では20日の降り始めから23日までの雨量が508㍉に達した。
筆者の田舎は台風がよく通過したが、人生において1時間100㍉以上の雨、2日余りで500㍉の雨などは経験したことがない。現地からは、震災からやっと立ち直りかけた矢先の大雨に、「ここで住むなと言われているようだ」という住民の嘆きが聞こえてくる。
輪島市の中心街のテレビ画像を見ると、8カ月以上たった今も大地震で倒れたビルや家屋、焼けた朝市街がほとんど手付かずのまま残っている。政府は復旧復興にあまりにも無為無策でなかったか。
同じような災害は、全国各地、どこでも起こり得る。災害に遭っても政府は見捨てないという意思と能力を速やかに発揮してもらいたいものだ。
(武)