=9月25日、ロサンゼルス(時事).jpg)
赤ちゃんを抱っこしているパパ。ビッグサイズのバーガーをかじっているママ。その間に座った坊やが、ニコニコ顔で両親に話し掛けている――。米大リーグのテレビ中継で映し出された一場面である。
大谷翔平選手の活躍に導かれて観戦するようになると、ゲームもさることながら、観客席の風景に興味を抱かされた。大概、家族連れなのだ。毎日がファミリー・ホリデーである。それで改めて思った。米国は「家族の絆」と共にスタートした国である、と。
ものの本によると、17世紀に英国から米国に渡ってくる人の多くは家族ぐるみの年季奉公人だった。彼らは植民地の裕福な人に年季証文を買ってもらい、その資金で米国に渡り、一定期間(4~7年)そこで働いて年季が明けると自由な身となった。
英国西部のブリストルからの出航者資料(1654~85年)に職業が載っている。それを見ると、農民や職人、労働者が大半を占め、裕福なジェントルマン(地主・貴族など名望家)は1%以下にすぎない。自ら手に汗して働く人々が、家族と共に米国に渡ったのである。
家族の物語といえば、米国の古き良き開拓時代を描いた『大草原の小さな家』(ローラ・ワイルダー著)が思い浮かぶ。1970年代にテレビドラマ化され、日本でも人気を博した。
そんな家族の系譜を大リーグの観客の中に見る思いがする。米国も日本も政治の季節。「家族の価値」をないがしろにしてはなるまい。