先日、テレビで「グッドパートナー」という話題の連ドラを見た。離婚訴訟専門の女性弁護士が主人公で、脚本も実際に離婚訴訟を手掛けた弁護士が書いたという。地上波で放送され、ほぼ毎回2桁の視聴率だった。例によって韓流仕込みの濃厚で複雑な人間関係が登場するが、離婚というテーマは世相を反映している。なにせ韓国の離婚率(婚姻数対比離婚数)は昨年約48%を記録して日本の35%より高く、アジアワーストクラスだ。
離婚の中で目立つのは「黄昏離婚」と呼ばれる熟年離婚の多さだ。今年大いに話題になったのは、結婚当時「世紀の結婚」ともてはやされた、石油精製や移動通信を軸とする財閥SKグループの会長と元大統領の長女の離婚騒動だろう。原因は夫の公然たる浮気で、離婚訴訟(2審)では慰謝料20億ウォン(約2億2000万円)、財産分割1兆4000億ウォン(約1500億円)が命じられた。桁外れの額にメディアは「世紀の離婚」と報じた。
子育ても終わり、夫の定年退職を見計らって妻の方から「もうあなたのお世話はこりごり」などと切り出し、離婚届に判を押すよう促すケースは少なくない。財産分割なら妻も退職金の一部を手にする権利があり、「我慢する女」を演じる必要がなくなる。そういえば、定年が近い知人の韓国人男性は年に何回か奥さんを連れて海外旅行に出掛けるようになった。知人は筆者の耳元で「黄昏離婚で毎日カップ麺生活なんて御免だよ」と囁(ささや)くのだった。(U)