「子供は風の子」と言われ、真冬の時期に外から子供の声がよく聞こえてきたものだが、近年あまり聞かない。その一方で、今夏、強い陽光の下、幼児が親を引き連れるように公園などに行き、水浴びを飽かずにしているのを見て、子供は光の子だとつくづく思ったりした。
人間も含め生命体には、誕生→成長→成熟→衰退という過程が変わらずにある。ところがこの加齢と共に起こる現象、いわゆる老化についての仕組みはあまり分かっていない。
老化を防ぐ「クロトー遺伝子」を見つけ出した分子生物学者の鍋島陽一博士に、以前、生命と遺伝子の関係を聞いたことがある。「遺伝子は生命を制御する働きを持つものだが、生命そのものではない」がその答え。「個々の遺伝子が集まって、個体(あるいは生命総体)としてなぜ生命の機能を持つかということは分かっていない」と。
老化について、最近は体内時計との関係に言及する説も目に付くようになった。加齢により体内時計が乱れ、老化を進める。しかし、なぜ免疫が落ちそれが老化につながるのか、その原因は不明だ。
つまり生命とは不思議極まるもので、遺伝子や体内時計はその持続・調節装置の役割を果たしている。今後の研究成果にも期待したいが、生命は繁殖によって受け継がれていくというのが万古不易の原理でもある。
子供は宇宙・国・家庭の宝として生まれてくる。少子化問題もこういう大きな見地からの認識、対策が必要だ。