メキシコでは、9月は独立記念日を祝う月だが、大地震が特によく起きる月としても記憶されている。メキシコ国歌の一節「地の中心が震える」という言葉を思い起こさせ、近代の特に壊滅的な地震の幾つかが9月に発生している。
1985年9月19、20日、マグニチュード(M)8・1と7・6の強力な地震がメキシコの太平洋岸を襲い、壊滅的な被害をもたらした。多くの命が失われ、行方不明者が続出。この悲劇は今のメキシコ人の心に深い傷を残している。
32年後の2017年、歴史は繰り返した。9月7日と19日、M8・2と7・1の地震が発生し、メキシコ湾岸に大きな被害をもたらした。
ちょうど4年後の21年9月7日には、まるで地震発生がカレンダーに刻まれているかのように、M7・1の地震が再びメキシコ湾岸を襲った。これは、偶然なのか、何らかの科学的な説明が可能なのか。
毎年9月が近づくと、メキシコ人の日常生活には不安と恐怖が入り交じる。科学は、これらの大規模な地震がなぜ9月に集中しているのかについて、答えを出していないが、「地球には記憶があるのだろうか」と考える人も多いという。メキシコの科学者は、原因を解明するための研究を続けている。国は警戒を続け、次に起こるかもしれない地震に備えている。
偶然か、それともパターンがあるのか。国民は、科学が原因を解明してくれることを不安と共に待ち望んでいる。9月は追悼と記憶、新たな地震に備える月となっている。(O)