「空の神様を恨みたくなる」「どうして能登ばかり」――。元日の地震からようやく本格的な復興に歩みだした能登を襲った大雨被害。地元の人たちからこんな言葉が出てきても無理はない。
仮設住宅にようやく入居でき、そこでの生活に慣れたところへの床上浸水。気象学的に説明できる偶然の現象と言われても、心は簡単に納得できないだろう。
相次ぐ土砂災害による道路の寸断と集落の孤立。住居の被害、そして断水など、地震発生後の状況を再現するものとなった。輪島市では地震の復旧作業に当たっていた作業員も犠牲になっている。
ことごとく嫌みで皮肉な現象である。しかし、物は捉え方次第ともいう。大雨被害は、復興が遅れがちな能登に再び国民的な関心を持ってもらうきっかけとなったのも事実だ。ボランティアなども受け入れ態勢が整っていないことなどの理由から、尻すぼみになっていた。
能登半島地震は、少子高齢化、過疎、人口減という日本の地方が抱える課題を浮き彫りにした。石川県の馳浩知事は、能登の復興はそれらを解決するモデルにしたいと創造的復興を掲げている。行政の側はそれをもう一度確認し、復興へのアクセルをさらに強く踏むべきである。
寸断された道路は開通し、孤立集落もほぼ解消されつつある。財政的な支援も必要だろう。それとともに心が折れても仕方のない能登の人たちは、心のこもったメッセージを求めているように思われる。