国際平和デーの21日、ユダヤ人の古い友人夫妻に誘われ、ピースウォークに参加した。穏やかな秋の午後、エルサレムにあるインターナショナルYMCAの中庭には、およそ100人のさまざまな背景を持つ人々が平和と希望のために集まっていた。世界の20都市でも同時にピースウォークが繰り広げられるという。
久しぶりに会う夫妻は、変わらぬフレンドリーな笑顔で迎えてくれた。世界中にマインドフルネスを伝えたベトナム出身の禅僧で平和活動家の故ティク・ナット・ハン師の教えを実践している。
集まった人々は、おのおの白っぽい服を着て、花を手にしている人もいる。女性の多くがターコイズ色のスカーフやネックレスを身に着けていた。聞いてみると、草の根平和活動団体「ウーマンフォーピース」の人たちだった。
この1年、都市部で多くの市民が大声で叫びながら政治的なデモを繰り返してきた。ところが、この日のそれは全く異なった雰囲気だった。横断幕もなければ、マイクやスピーカーで叫ぶこともない。
禅僧が着る茶色の法衣を羽織った友人夫妻は、初めに手に持った祈りの鐘を鳴らし、平和を願う詩を朗読した。そして静かにゆっくりと歩き始めた。その後ろに人々が続き、長い行列ができた。沈黙のピースウォークだった。一歩、一歩、平和を願って瞑想(めいそう)しながら進む人々の顔は慈愛に満ちていた。
その夜、イスラエル北部に激しいロケット弾の雨が降った。エルサレムの祈りが届く日はいつだろうか。(M)