9月13日は金曜日だった。キリスト教文化圏では、「13日金曜日」は不吉な日と考えられてきた。イエス・キリストがこの日に十字架にかかったからだ。だが、大多数の現地メディアは話題にしない。古いテーマであり、迷信にすぎないからだろうか、と考えていると、知人のポーランド人は笑いながら「もはや『13日金曜日』だけが不吉な日ではなくなったからだよ。考えてみろよ。ウィーンでもイスラム過激派の事件が起きたばかりだ。アメリカのポップスター、テイラー・スウィフトのコンサートはキャンセルされた。ドイツでは橋は崩れ、至る所で洪水や大雨だ。少なくとも、欧州では最近、毎日が13日金曜日となった」と言った。
筆者が住むウィーンではこの夏から9月初めにかけて、日中は34度まで気温が上がった。その数日後の12日には10度に急落した。先の知人は「2、3日前まで異常な暑さで服も体も汗でびっしょりになったし、きょうは大雨で服がびしょ濡(ぬ)れだ」と言う。
ウィーン市当局は、「不要な外出は避けて下さい。来週初めまで大雨が降る可能性があります」と警告し、危険ということで週末に開催予定のイベントの中止を要請していた。駐オーストリア日本大使館領事部は12日、大雨洪水警報のメールを発信した。
路上の鳩(はと)たちも強風と大雨を恐れ、屋根のすみかに一斉に避難している。鳥や動物も異変が差し迫っていることを感じているのだろう。次の「13日金曜日」は12月13日だ。(O)