文化庁が発表した「国語に関する世論調査」によると、1カ月に本を1冊も読まない人が6割を超えた。
今回、初めて5割を超えただけでなく、1カ月に読む冊数も減った。読書離れは確実に進んでいるわけだが、スマホを通して活字に触れているせいか、減ったという感覚はあまりない。
一方、子供は1カ月に何冊読んでいるのか。全国学校図書館協議会の2023年度学校読書調査によると、1カ月に小学生12・6冊、中学生5・5冊、高校生1・9冊。1冊も読まない不読は高校生で43・5%いる。
年齢が上がるにつれ、スマホ時間が増え、本の冊数が減ってくるので、文化庁調査の6割超えは驚く数字ではない。
自身もそうだが、時間をかけて本を読むより、スマホで本の要約、解説を読んで済ませることが増えた。
文化庁の調査では読書量が減った主な理由として、情報機器の利用の増加と仕事や勉強の忙しさを挙げている。学生を含め、若い人は忙し過ぎる。
実際、本を読みたいという衝動に駆られ、会社を3年半でやめ、文芸評論を始めたという女性がいる。三宅香帆さんが書いた『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、同世代のサラリーマンの共感を呼んでいる。
学生時代は読書好きだった著者が問い掛けているのは、好きだった読書をする時間もないほど、忙し過ぎる日本はこれでいいのだろうかという素朴な疑問である。
スマホ世代は本を読まなくても情報に精通している。ただ、本を読むのと情報を得るのは同じではない。
読書離れが進むと、本が売れなくなり、そのうち街から本屋が消えていく。そうなると、読書という文化そのものが消えてしまうようで怖い。
そうならないために、スマホから距離を取ることを心掛けたい。
(光)