大相撲秋場所は、関脇大の里が14日目に優勝を決め、大関昇進を確実にした。照ノ富士の休場で横綱不在の場所だったが、連日の満員御礼で盛り上がった。人気力士は多いが、やはり大の里の存在が大きかった。
大関昇進が決まれば、9場所目で史上最速となる。まだ大銀杏(いちょう)の結えないちょん髷(まげ)の大関の誕生だ。
身長192センチ、体重182キロの恵まれた体格を生かしての突き、押し、右四つからの寄りを得意とする。前に出る圧倒的な圧力を武器にしたパワフル相撲が魅力だ。
しかし、今場所はよく考えた相撲、技術も着々と身に付けていることを証明した。優勝を決めた大関豊昇龍との一番について、八角理事長は「突っ張ってから右を差していた。最初から右ではなく考えながらやっていて成長している」。
優勝が懸かった土曜日、地震からの復興途上にある出身地の石川県能登地方は、大雨で大変な被害の中にあった。「ああいう状況になっていることに土曜の朝に知って、絶対今日僕が優勝したいって土曜日の朝決めていたので。土曜日に決められてよかったです」。
これまで何人もの大関が、その上を目指してきた。しかし、未来の横綱と期待されながらも果たせなかった大関は数多い。「これからいろいろ大変だし、求められるものも大きくなる。その中でも自分の相撲、持ち味を発揮できればいいかなと思う」。千秋楽から一夜明けての言葉は控えめだが、強い決意が込められていると見た。