【上昇気流】異常気象とセミ

アブラゼミ

9月になっても異常な暑さが続いている。今は異常で済んでいるが、いずれはそれが通常になったらたまらない。その可能性も高い。異常気象下でも、セミは鳴く。ニイニイゼミは10年ぐらい前から声が聞こえなくなった。セミが減ったのではなく、耳の事情だ。

数年くらい前からは、アブラゼミの声も聞こえなくなった。死体が転がっているから、セミはしっかり生きているのだが、これも当方の事情だ。

稀(まれ)にアブラゼミが木から木へ移動するのを見掛けることがある。世界的に茶色の羽を持ったセミは珍しいようだ。「鳴きやめて飛ぶ時蝉(せみ)の見ゆるなり」(正岡子規)という句があるが、アブラゼミかどうかは分からない。

今年はクマゼミが少ない。あのうっとうしい声は楽しくはないが、「どうなったんだろう」とは思う。関東地方でのクマゼミの出現は35年ぐらい前から。もともと南方系のセミだ。その頃から温暖化は進行していたのだろう。

ミンミンゼミは涼しげで、酷暑の中で少しはほっとする。今年も今月初頭ぐらいまでは鳴いていた。平地には少なく、低山で鳴くことが多い。夕方のヒグラシは、毎年キチンと鳴いている。騒がしい印象はない。

若者はセミの声をうるさいと感じるという話を聞いたことがある。都市化が進めばそんな傾向も生まれてくるのだろう。一般に欧米では鳴く虫への関心が低いという。文化の違いだろう。今月半ばを過ぎればツクツクボウシの天下。この流れはほぼ不動だ。

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