毎年夏になると「ハーリー」と呼ばれる祭りが県内各地の漁港で開催される。ゴールデンウイークの時期に開催される県内最大規模の「那覇ハーリー」は那覇三大祭りの一つにもなっており、毎年多くの人が訪れている。
海の恵みに感謝し、さらなる大漁と航海の安全を祈願する神事で、龍を模した爬竜船や小型のサバニと呼ばれる伝統的な漁船に数人~十数人のチームで乗り込み、手漕(こ)ぎでレースをする伝統行事だ。
ハーリーの歴史は古く、約600年以上も前から存在していたとの説もある。戦前戦後の混乱期に休止を余儀なくされた地域もあったが、現在では毎年開催される恒例行事として定着している。
中でも古くから漁師の町として栄えてきた糸満市のハーレー(糸満市では伝統的な呼称「ハーレー」を使う)は、他とは一味違ったユニークな催しを見ることができる。
一つは「クンヌカセー」と呼ばれる競技で、レースの途中でわざと船をひっくり返し転覆させ、外のメンバーが泳いで船を支えながら、中では必死に水をかきだし、そのままゴールを目指すというもの。海で不測の事態が発生した際の対処能力やチームワークが求められる高度なレースだといえる。
もう一つは「アヒラートゥーエー(アヒル取り競争)」で、海に放たれた20~30羽のアヒルを捕まえようと、参加者が一斉に海に飛び込み追い掛けるイベントだ。
これについて昨年、東京の動物愛護団体が「動物虐待にあたる」と主張し、行事委員会などを刑事告発するなど、物議を醸していたが結果的に不起訴となった。一度は存続が危ぶまれたアヒル取り競争だったが、注意喚起を徹底した上で継続されることとなった。
(K)