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【羅針盤】日本人にチャレンジ精神を

日本国民の活力が失われている。日本財団が今春、米国、中国、インド等6カ国の若者(17~19歳)各1000人に「自国の将来」について尋ねたところ、「悪くなる」と答えた日本の若者は35%、「良くなる」(14%)の2倍を超え、6カ国中で最も多かった。

米ギャラップ社が行う各国の企業を対象にした会社員の意識調査(2023年版)では、「熱意ある社員」が日本はわずかに5%。中国の3分の1弱、米国の6分の1弱だったという。

今年2月のNHKの報道によれば、日本の昨年1年間の名目のGDP(国内総生産)は、ドル換算でドイツに抜かれて世界4位になった。日本の経済規模は、60年代後半から70年代初頭にかけて英仏や当時の西ドイツを超え、米国に次ぐ世界2位となり、その後2010年に中国に抜かれ世界3位、昨年、人口がほぼ3分の2のドイツに逆転され、4位となったという。

国際的な地位の指標の一つである国民1人当たりの名目GDPは、グローバルノート(国際統計・国別統計専門サイト)によれば、2023年に日本は米ドル換算3万3806㌦で世界191カ国中34位、1位ルクセンブルク12万9810㌦の26%、6位米国8万1632㌦の41%、19位ドイツ5万2727㌦の64%にすぎない。

日本経済は1991年バブル崩壊後30年以上ほとんど成長していない。「低所得・低金利・低成長」なのに「物価高」は日常化している。人口動態からも日本の国力が中長期的に低下することは必至だ。

日本が長期デフレに陥った原因は、過去の政府や日銀の経済政策の失敗だという見方もあるが、国民全体の活力不足、いわばチャレンジ精神不足が大きな要因に見える。

日本の企業の内部留保が多いというのもその表れだ。賃上げによる人材獲得・育成、新規開発投資、設備投資等の挑戦がなされず事なかれ主義になっている。

しかし日本国民には先人達が構築した自由で住み心地がよい国がある。教育程度・モラルが総じて高く、協調性に優れ、全ての方面で優秀な人材も多い。

日本人が民主主義、自由、法治の概念を重視し、国民個々の生活を物心両面で充実させることを望むなら、日常の生活で更に積極的にそれぞれの課題に挑戦することが大事だ。

国家に求めることのみ多く、自ら国家国民に対し何ができるか考えようとしない国民や社会集団、あるいは、世界に求めることのみ多く、自ら世界のために何ができるか考えようとしない国家や国家集団が多ければ、世界の将来は暗い。世界のために日本国民挙げての奮起が必要な時代だ。(遊楽人)

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