野良猫たちの過酷な運命 フィンランドから

フィンランドでは、推定2万匹の野良猫が街をさまよっているといわれる。これらの野良猫は避妊手術を受けていなかった捨て猫の子孫たちだ。無制限な繁殖によって、数百匹にもなる大規模な野良猫の群れが国中に生まれつつあり、今や大きな動物福祉問題となっている。

これらの野良猫に対する世話と対処はボランティア団体のみが頼りだ。毎年、何千匹もの野良猫が動物保護団体による罠(わな)で捕獲されているが、たとえ飼い主が見つかっても、飼い主が途中で飼育を放棄し再び野良猫となるケースもそれなりにある。救出には限界がある。

さらに野良猫となった猫の状況は深刻だ。なぜなら、これらの猫には過酷な運命が待っている。一般的に猫の寿命は12~18年といわれるが、フィンランドの厳しい冬、怪我(けが)や病気、交通事故などにより野良猫たちの平均寿命はわずか4年だ。野良猫たちのサバイバル、特に寒い冬でのサバイバルは過酷なものとなる。

救済策となるかもしれないと期待されているのが、このたび定められた新しい動物福祉法だが、野良猫たちの救済というよりは野良猫の数を減らしていくという法律だ。つまり、避妊手術を受けていない雌猫が自由に屋外を歩き回ることを禁止するのだ。

もはや、増え過ぎた野良猫自体の救済は不可能だということだろう。猫に限らずペットを飼育する人間側の責任の重要性を改めて感じさせられた。(Y)

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