8月末、息子夫婦が11カ月の娘を連れ、一時帰国した。帰るたびに「日本は何もかも便利、サービスが凄(すご)い」と連発している。
今回、息子が一番驚いたのは子育て支援の充実ぶりだ。夕食後、嫁が市の窓口で手渡された子育て支援BOOKを見せてくれた。
まず産前産後の国民保険料の免除、月1万5000円の児童手当、0歳~高校卒業まで医療費無料、3~5歳児の幼稚園・保育園無料、さらに市から認証保育所利用者に月2万~2万7000円が補助される。東京都は今年度から0~2歳の第2子保育料が無料になり、0歳からほぼ保育料の自己負担はない。
ニューヨーク州の隣、ニュージャージー州辺りで0歳児の保育料はどれくらいかと息子に尋ねると、「月1500㌦は掛かる」との返答。日本は仕事と子育ての両立が難しい国と言われているが、育休制度は先進諸国で最も充実している。息子に言わせれば「日本は子育て天国」である。
その他、0~18歳まで月額5000円、年間最大6万円が支給される東京都の子供・子育て支援018サポート、給食費無料化や修学旅行費用の助成など、最近の子育て支援はばらまき競争の様相を呈している。支援金で金額が大きいのは、出産育児一時金だが、海外で出産した場合も、出産費用の領収書があれば相当額が支給される。
子育て支援BOOKに一通り目を通した嫁は「もらえるなら、いろいろ申請してみようかな」とつぶやいた。続けて、「こんなに子育て支援が充実してるのに出生率が下がり続けるって、何か変じゃない?」。
そして日本に里帰りして1週間。息子の口から「三世代同居はいいなあ。子育てが楽になった」という言葉がこぼれ出た。支援金が多いのに越したことはないが、子育てが楽になるかというとそうでもない。やはり子供を見守ってくれる家族のサポートほどありがたいものはない。
(光)