トップコラム【上昇気流】中国的強権の内と外

【上昇気流】中国的強権の内と外

日本の領空を侵犯した中国軍のY9情報収集機=8月26日(防衛省統合幕僚監部提供)

最近、中国の動きがおかしい。南シナ海での周辺諸国との衝突、沖縄県・尖閣諸島への領海侵犯などその覇権的行動は今に始まったことではないが、わが国への領空侵犯はじめ一段とその威嚇の度を増している。

領空侵犯については日本の抗議に対し遺憾の意すらなく、日本側に「深読みしないよう望む」などと盗人猛々しいとはこのことだ。ただ、調査中と全面否定ではないところにわずかの含みはあった。

折悪しくというのか絶好の機会というか、二階俊博・元自民党幹事長を団長とする超党派の訪中団が北京入りしていた。このタイミングで厳しく対面で抗議すべきだった。報道では、二階氏が「遺憾の意」を表明したとある。遠慮どころか臆したと言うしかない。

中国共産党指導部は常にその強権独裁ゆえに弱みを見せない。指導部の意に反して軍の前線が領空侵犯を試みたとの見方もあるが、百歩譲ってそうであっても中国としては糊塗せざるを得ない。

といって全面的に突っぱねるのも外交上得策でない。真意を隠して曖昧にすることが指導部の体面につながると踏んでいる。一連の強権的対外姿勢は、共産党権力内部に常にはらむ脆弱さを覆い隠す手段でもあろう。

このところ欧州各国の戦闘機や空母、艦艇などが来日し自衛隊との共同訓練に勤しんでいる。今や日米同盟関係だけでなく、欧州のこうした動きに敏感に反応しているのも確かだ。それだけに日本の毅然たる姿勢がさらに求められる。

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