ブラジルで最も人気がある「ソーシャル」アプリは、インスタグラムだ。アクティブユーザーは世界3位の1億3500万人、実に日本の倍以上のユーザーが日常的にインスタを利用している。次に人気があるのはフェイスブック。日本では若者離れが進みユーザー数が減少したが、ブラジルでは今も1億人以上が利用している。
インスタを情報発信の手段として利用しているブラジル人も多い。知人の政治家も、インスタを積極的に利用して支持者や有権者とつながっている。インスタに1200万人のフォロワーを持つインフルエンサーのマルサル氏が今年のサンパウロ市長選挙で台風の目となっていることも時代の流れだろう。
一方、イーロン・マスク氏がオーナーとなっているX(旧ツイッター)が、ブラジル最高裁判事の命令でサービス停止に追い込まれたことは世界的なニュースとなっている。ブラジルでのユーザー数は2000万人、日本の3分の1にも満たないが、ルラ大統領も活用するなど欠かせない情報発信ツールの一つだ。
ブラジル国内では、言論の自由を強調するマスク氏と偽ニュースなどの取り締まりをXに求める最高裁判事のどちらにも言い分があるとネットユーザーの意見は分かれている。ただし、毎日のように慣れ親しんでいた情報・コミュニケーションツールに「アクセスできません」との画面が出てきた時、筆者は思わず「自由を喪失する」「隔絶される」ことの意味を考えてしまったことも事実だ。(S)