【上昇気流】山の寺復興プロジェクト

芝の増上寺の大殿

能登半島地震で大きな被害を受けた石川県七尾市の復興を応援する「七尾港まつり in Tokyo」が、東京・芝の増上寺で開かれた。台風10号の影響で時折雨が降る生憎(あいにく)の天気だったが、本堂前で盆踊りが行われ、展示ブースが設けられた。

その一つに「山の寺寺院群復興プロジェクト」があり募金を募っていた。山の寺寺院群は七尾市の歴史と文化の宝庫だが、今回の地震でこの寺院群も甚大な被害を受けた。

前田利家が天正9(1581)年に七尾に入り、平山城を築いた時、奥能登地域からの防御のために城周辺に、浄土真宗を除く各宗派の寺院を移転配置したことに始まる。設置当時は29の寺院が存在し今も16カ寺が存在する。

利家が能登で建立した唯一の寺、長齢寺(曹洞宗)には、利家の両親の墓や肖像画が遺(のこ)る。また七尾市といえば、桃山画壇の巨匠、長谷川等伯が生まれた町としても知られるが、實相寺(日蓮宗)には等伯筆の「日蓮上人像」、龍門寺(曹洞宗)には「達磨図」などが遺っている。

さらに、本門法華宗の本行寺は、前田家の庇護を受けていたキリシタン大名、高山右近ゆかりの品が遺る。十字架を内蔵した秘仏など、隠れキリシタンの寺として注目を集めている。

地震では多くの寺の山門や鐘楼が倒壊し、被害総額は30億円に上っている。クラウドファンディングで資金を募っているが、貴重な文化遺産で観光の目玉でもある寺院群の復旧は、七尾市の復興に欠かせない。

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