「最高気温が35度以上の日(猛暑日)や1時間降水量が50㍉以上の強い雨など」を気象の「極端現象」と呼ぶ(気象庁)。東京など大都市周辺もこの現象による被害を免れ難くなってきた。
都内では、先月21日に港区付近で午後7時までの1時間で約100㍉の猛烈な雨が降ったとみられ、JR品川駅前の道路や渋谷区のアンダーパス、地下鉄市ヶ谷駅構内などが冠水した。
ところがテレビニュースで見ると、激しい雨の中、JR新宿駅付近を事前の準備なく軽装で歩く女性がいた。30日、今度は台風10号などの影響も心配されたが、市ヶ谷駅で降り、出勤途中と思われる女性の足元を見るとサンダル履き。どうせ濡(ぬ)れるならということだろうが、これには驚かされた。
その後、台風の勢いが鈍化し安堵(あんど)させられたこともあろうが、オフィス街の茅場町の路上でも正午前、雨具(特に雨靴)を着けているのは20~30人に1人だった。急激な地球環境の変化に一人一人の意識がついていけていないのではないかと思った。
極端現象の影響が注目され始めたのは、2014年8月20日に広島市で起きた土砂災害によってだ。狭いエリアがかつてない集中豪雨に見舞われ、77人が犠牲となった。防災科学の専門家で新潟大教授だった故福岡浩氏は「局地的豪雨による土砂災害としてエポックメイキングな災害」と指摘。
今後、極端現象の豪雨と大規模地震が重なった場合、極めて複雑な災害様相を帯びるはずだ。