中欧オーストリアでは7、8両月、気温が30度を超える日が増え、夜も20度以下にならないことが急に増えた。湿気もあるから、呼吸をするのも苦しいほどだ。
オーストリアは本来、ウインタースポーツが盛んな国だ。冬は長く、夏でも30度を超えることは少なく、空気も乾燥しているので、暑さと湿気で眠れない夜を過ごすということはほとんどなかった。それがここ数年で激変した。この夏、エアコンを設置する家が増えた。
オーストリア精神医学・精神療法・心身医学会(OGPP)は、気候変動が健康、特に精神的健康にとってますます大きな課題となっていると発表し、「新しい科学的データによると、気温が1度上昇するごとに精神疾患のリスクが0・9%増加する可能性がある。また、暑さにより攻撃性が増加することも実証された」と指摘した。
実際、理由なくナイフで路上の人を襲うといった犯罪が増えている。ウィーンの一部の区ではナイフの携帯が禁止された。ドイツでは駅構内でのナイフによる犯罪が急増した。異常な暑さで人々が攻撃的になってきたのだ。
OGPPは「気候変動は環境だけでなく、身体的および精神的健康にも直接的な脅威をもたらす。現在観測されている極端な気象現象は、うつ病、不安障害、トラウマ後遺障害などの精神疾患の増加と関連しており、気温の上昇と共に自殺者数も増加している」と警鐘を鳴らしている。(O)