
お盆の最中、明治神宮を久しぶりに訪れた。連日の猛暑にもかかわらず、やはり数少ない都心の憩いのスポットなのだろう、外国の観光客も多く見受けられた。「うつせみの 代々木の里は しづかにて 都のほかの ここちこそすれ」(明治天皇)。
江戸時代の初めは熊本藩主加藤家下屋敷の庭園だったが、その後彦根藩主井伊家に移り、明治維新後に皇室の御料地となった。その苑内を歩く。明治天皇皇后の昭憲皇太后は御休息所「隔雲亭(かくうんてい)」に寄られては南池での釣りを楽しまれたという。
ちょうどこの日、池の端にシラサギがじっと停まっていた。亡くなった妻と何度か来たことはあるが、見掛けるのは初めてだ。やっと頭を動かしたのを見て一緒に来た息子が「動かないから置き物かと思った」には苦笑したが、それだけ魚の狙いに集中していたのだろう。
さらに行くと、加藤清正が掘ったという「清正井(きよまさのいど)」がある。木立の中にこんこんと湧き出す清水で、まさに一服の涼を得たようだ。都心とは思えない静寂の中にしばし時を忘れる。
昨年、神宮境内に掲げられた昭憲皇太后の御歌が印象的だったのを思い出す。「人ごとの よきもあしきも こころして きけばわが身の ためとこそなれ」。さまざまな御苦労がおありだったのだろう。
下世話ながら御苑はその癒やしの場でもあったのかもしれない。時間を超越した観のある都心の貴重な空間を大事にしたいと改めて知らされる。






