青年会や地元企業、同窓生の集まりなど、家族や親戚の枠を超えたコミュニティーでの結び付きが強いことで有名な沖縄だが、中でもユニークな集会がある。気の合う仲間で月に一度集まって、食事をしたり飲み会をするのだが、この時同時にお金を積み立てるのだ。
これは模合(もあい)と呼ばれる沖縄独自の互助文化で、毎月食事代とは別に、5千円や1万円などの一定の金額を全員から集め、メンバーが順番に受け取っていくというもの。つまり、10人組の模合で毎月1万円ずつ積み立てていた場合、自分の番が回ってきた月には10万円を手にすることができるのだ。入院や学費、旅行など、急な出費が必要な時に受け取ることができる「庶民金融」のような意味合いも持つ。
未納者の有無や、誰がどの順番でお金を受け取ったかなどを記録しておくための「模合帳簿」が、県内の雑貨屋などで販売されていることを見ても、模合文化の根強さがうかがえる。
実際に毎月三つの模合に参加している知人によると、模合の一番のメリットは仲間内の結束感が強まることだという。確かに、忙しくても毎月必ず顔を合わせれば親睦はかなり深まる。
一方で、やはり金銭が絡むため、信頼関係もかなり重要な要素となる。仮に模合を欠席した場合でも積立金は必ず払わなければならず、模合帳を管理する人にも責任が伴う。
模合に関するSNSの投稿を見ていると、たまに「模合で飛ばれた」「積立金が回収できない」など、ネガティブな言葉を目にすることもある。
こうしたリスクがありながらも、模合文化が廃れず現代に残っているのは、沖縄県民の互助扶助の精神が高いからだろう。
(K)