今回のパリ五輪で韓国は金メダル13個を獲得し、総合8位という好成績を収めたが、とある公務員がSNS上に「金メダルなんて1個も取れなければいいのに」という文章をアップして、甲論乙駁になった。「自分は1日に100人の市民を相手にし、公文を数十件扱う毎日を30年間続けて初めて年金を月130万ウォン(約14万円)支給される」のに、「金メダル1個取っただけで(同程度の)年金を生涯もらうなんて許せない」というのだ。
韓国で公務員や会社員など働く人が抱く不平不満を調査すると、上位に必ず来るのが「自分の待遇に対する不満」だ。前述の公務員は市役所の職員で、どうやらメダリストたちが出身地の自治体にスポーツチームを結成し、税金から給与をもらって好きな運動をしていることにも不満を抱いているようだった。気持ちは分からなくもない。なにせ韓国の職場では、こうした待遇や人間関係が原因でストレスを抱くケースが圧倒的に多い。
この話を聞いて思い出したのが、以前、懇意にしていた中堅新聞社のカメラマンだ。ある時、彼は筆者に「自分は金持ちにはなれなかったが、十分幸せ」と言っていた。理由を尋ねると、「好きなカメラを手に政治家や財界人、芸能人たちの活躍やスキャンダルの現場に居合わせ、時々海外にも足を運べたから」だという。競争社会で他人と比べることが多い韓国だが、やりがい中心に今の自分に満足する人がいるのを見ると、少しホッとする。(U)