【上昇気流】大人たちへ夏の読書の薦め

学校が夏休みとなり、書店では夏の読書フェアのコーナーが設けられている。毎年恒例のイベントだが、「新潮文庫の100冊」のラインナップは、現役作家の作品を加えるなどして少しずつ変わっている。

カミュ著『異邦人』、ドストエフスキー著『罪と罰』、梶井基次郎著『檸檬』、三島由紀夫著『金閣寺』など近代の内外の名作に交じって、小川洋子著『博士の愛した数式』、吉本ばなな著『キッチン』、恩田陸著『夜のピクニック』、さらに新しいところでは、西村賢太著『苦役列車』、村田沙耶香著『地球星人』など現役作家の作品がリストアップされている。

これらリストは、今の若い人にどんな作家が人気があり、どの作品が読まれているのかを知る参考になる。また、昔の作家で誰が今もよく読まれているかが分かる。

日本では夏の読書フェアは、主に長い休みに入った学生を対象にしたものだ。一方、英国などでは夏のバカンスシーズンが近づくと、タイムズなど新聞が一般読者を対象に推薦本の紹介記事を載せる。海辺のリゾート地などでゆっくり過ごすスタイルが多いので、本を読む絶好の機会となるわけだ。

日本では、そういう文化がないのは残念だ。お盆休みを取っても、お墓参りに行ったり、家族親戚と交流したりでゆっくり読書をする雰囲気ではない。

それでも、帰省列車の中くらいは、仕事から離れて、若い頃と同じような真っさらな気持ちで本を読んでみてはいかが。

spot_img
Google Translate »