朝市の楽しみ ブラジルから

筆者は朝市が好きだ。それぞれの国や地方の特色がある朝市は、朝の光を浴びながら散歩をしているだけでも楽しいが、水産物、土地の野菜や季節の果物などが朝食に加わると、より格別なものとなる。

ブラジルの朝市は楽しみにあふれている。ブラジルのファストフードの代表格の一つ、「パステウ(ブラジル風ギョーザ)」は朝食の定番の一つだ。パステウにも地方色があり、港町に行けば海産物入りも食べられる。

瓶入りのコカ・コーラを飲みながらパステウを食べ、食後にブラジル風の濃くて甘いブラックコーヒーを飲んで目を覚ます。食後に新鮮な野菜や果物などを物色するのが筆者の定番だ。

印象に強く残っているブラジルの朝市は、アマゾン川の河口に位置する北部の街ベレンのものだ。ブラジルの中では歴史の古い街ということもあるが、街並みや建物の色使い、港に停泊する色とりどりの漁船や由緒ある教会など、異国情緒が強く漂う街の朝市探索は格別なものだった。

一方、日本人にとって欠かせないのは、サンパウロの東洋人街の朝市などで日系人が出している日本食の出店だ。比較的手頃な価格で、出来立ての今川焼き(大判焼き)や寿司、やきそばなどを楽しめる朝市は、日本食レストランでラーメン1杯が2千円もするブラジルでは、「日本食のオアシス」的な存在でもある。

ブラジルの朝市の最後の楽しみは、「閉店前のバーゲンセール」だ。閉店前になると、交渉次第でいろいろなものが安くなる。したたかなブラジル商人とのちょっとした駆け引きは、関西育ちの筆者にとってかけがえのないものとなっている。(S)

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