【上昇気流】処理水放出の「新ことわざ」

福島第1原発(Wikipediaより)

「知らせがないのは良い知らせ」――。ことわざにそうある。西欧故事にも「ノーニュース・イズ・グッドニュース」とある。

東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出は昨年8月から始まり1年が経(た)つが、新聞はほとんど報じない。これは問題が生じていない証しで、まさに知らせがないのは良い知らせだろう。

もっとも良い知らせであれば、知らせてほしいニュースもある。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は先月、同県小名浜魚市場で坂本哲志農林水産相と会談し、記者会見で「(処理水放出後も)魚の安全性が評価され(風評被害がなく)比較的静謐に進んでいる」と、政府の処理水対応を評価する発言を行った。

これを気流子は読売福島版(7月26日付)で知った。他紙を見ると、毎日福島版と地元紙には載っていたが、朝日は全く触れていない。完全スルーだ。これが朝日にとってニュースでないとは、いささか呆(あき)れた。

と言うのは昨夏、海洋放出が始まるとリベラル紙はこぞって地元反対を“根拠”に猛反対していたからだ。朝日の天声人語は「地元は海洋放出に反対している」「政府は福島に寄り添っていない」(2023年8月27日付)などと騒ぎ立てていた。それが今回の地元漁連会長の評価発言である。

それをなぜ、報じないのだろう。どうやら朝日には、別のことわざがあるようだ。それは「グッドニュース・イズ・ノーニュース」。良い知らせは知らせない、握りつぶす、である。

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