トップコラム【上昇気流】肝冷やす川沿いの大雨

【上昇気流】肝冷やす川沿いの大雨

大雨で決壊した石沢川の堤防=7月26日午後、秋田県由利本荘市

全国的に局地的な大雨が多発している。東京都や埼玉県でも先月31日の夕刻に突然、激しい雷雨があり、東京では多摩川水系の野川や仙川に洪水予報が出された。18時台には流域に平均25㍉もの雨が降り、氾濫危険水位を超え氾濫発生水位に達した箇所もあった。

川の増水は見る間に起こった。地元の防災当局は日ごろ住民にハザードマップで避難場所とその経路を確認するよう要請している。しかし突然の大雨では外への避難は難しく、むしろ2階や上階への移動(「垂直避難」と呼ばれている)を強調している。

幸い1時間ほどで篠(しの)突く雨も収まり川の氾濫は起きなかったが、平屋の住人や高齢者世帯はとっさの行動が取りにくい。急な気象変化では、不安がいや増すだろう。

東京・調布周辺の野川流域は四季折々の野花が咲き、親子が魚を釣り、老人たちが憩い、心に癒やしを与えてくれる場所になっている。東京にはこういった支流沿いに続く町が少なくない。

ところが、本流の多摩川などは洪水を免れるための浚渫(しゅんせつ)工事が定期的に行われるようになったが、支流は周辺に宅地などが立地し、大雨による被害を防止する本格的な工事は難しい。

日本の明治以来の都市づくりでは、洪水など自然災害を防ぐため、川の水を一刻も早く海に流すことを意図して川筋を直線化したり、川底をコンクリートで固めたりすることが多かった。今日では、河川の役割を多角的な視点で見据えた都市政策が必要だ。

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