衰え知らずの75歳 タイから

昨年8月に15年ぶりに帰国したタイのタクシン元首相が7月26日、75歳の誕生日をバンコクの自宅で迎えた。

記念に作られたTシャツには「75、自宅ほどよいところはない」とのメッセージがプリントされていた。

このメッセージは、タクシン派の貢献党と連立政権を担う保守王党派陣営に向けたもののようだ。

というのもタクシン氏は、保守王党派との関係が微妙な踊り場に差し掛かっているからだ。

最高検は6月、国外逃亡中のタクシン氏の発言に王室を侮辱する内容があったとし不敬罪で起訴している。タクシン氏は政権第1党の貢献党の実質的オーナーだ。通常なら連立政党からも敬意が払われる立場だが、連立政権の内部ではパワーゲームが展開されているようだ。

一番の原因はタクシン氏が政治の表舞台に立って結構、目立っていることだろう。保釈中の身ながら、隣国カンボジアに飛びフン・セン前首相と会ってタイ湾の両国領海にまたがった天然ガス開発に裏で手を回そうとしたり、ミャンマーに飛び軍政と会合を持ったりしている。

いわば保守王党派からすれば、タクシン氏に、王様の恩赦を取り付け、さらに保釈した恩義を忘れて勝手気ままに動いてもらっては不愉快だという牽制(けんせい)球を投げた模様だ。

Tシャツのメッセージは、しばらく「自宅でのんびり過ごすからお許しを」との保守王党派に向けた返答と理解できる。(T)

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