トップコラム災難を嘆く日 イスラエルから

災難を嘆く日 イスラエルから

イスラエルでは、ユダヤ暦で第4の月(タンムズ)17日に当たる7月23日、敬虔(けいけん)なユダヤ教徒たちが古代イスラエルの民に降り掛かった多くの災難を嘆き悲しみ、夜明けから日没まで断食し、悔い改めの祈りを行った。

旧約聖書の時代、古代イスラエルの民は、奴隷生活をしていたエジプトを脱出した。民を率いていた預言者モーセがシナイ山で神から十戒を記した最初の契約の石板を授かったが、金の子牛を神にして偶像崇拝する民を見て憤慨し、石板を投げ付けてたたき壊した日とされている。

他にも、バビロニア軍に包囲されたエルサレム第1神殿の祭司たちが、毎日の儀式に必要な生贄(いけにえ)の羊が不足したために儀式を中断した日とされ、その翌年の紀元前586年には神殿が破壊され、大半のユダヤ人が捕囚された。また、ユダヤの王の中でも悪名高きマナセ王が神殿に偶像を持ち込んだ日とされ、さらに西暦69年にローマ軍によってエルサレムの城壁が破られた日などとされている。エルサレム・タルムード(口伝律法)によると、バビロニア軍もこの日にエルサレムの城壁を破ったとされている。

敬虔なユダヤ教徒は、この日から第2神殿が破壊されたアブ月9日にまた断食するまでの3週間、喪に服して、髪を切ったり髭(ひげ)を剃(そ)ることもせず、結婚式などお祝いを控える。ラビ(ユダヤ教指導者)によれば、このような断食をする目的は、災難を招いた祖先の罪深い行いを思い起こすことで、悔い改める心を目覚めさせるのだという。(M)

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