.jpg)
熱戦が続くパリ五輪、日本選手のメダルラッシュが続いている。スポーツは筋書きのないドラマというが、作り物ではないアスリートたちの姿をまざまざと見せつける。だから感動も本物だ。
柔道女子52キロ級、東京五輪王者の阿部詩選手は、第1シードのケルディヨロワ選手(ウズベキスタン)に一本負け。五輪史上初の兄妹連覇は一瞬にして消え去った。負けが決まった瞬間、呆然(ぼうぜん)とし、号泣した。
連覇を夢見て練習を積み重ねてきた日々、本人にしか分からないプレッシャーがあったはずだ。素直に自分の気持ちをさらけ出すのは今風でかわいいという人もいるだろうが、柔道家、武道家の態度ではないだろう。
妹のまさかの敗退は、兄の東京五輪男子66キロ級王者、一二三選手の気持ちにも少なからぬ影響を与えた。一二三選手は、詩選手ら家族が応援席で見守る中、決勝でブラジルのウィリアン・リマ選手を合わせ技一本で下し、見事2連覇を果たした。
試合後には「最高の気分です。オリンピックまでの3年間は楽な道のりではなかった。妹が負けてしまって僕自身も苦しい一日だったが、兄として『やるしかない』という思いでいました」。妹の分まで頑張ろうとの思いが、その強さを鉄壁のものとした。
スポーツ選手は常に孤独な戦いを強いられる。しかし戦いのモチベーションは、個人の目標達成だけでなく、家族や自分を支えてくれる人々との絆で高まる。それは人生にもつながる。






