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史上初、船上パレードのパリ五輪開会式ではセーヌ川沿いの景観をパノラマ風に見せ世界に発信。選手らは世界遺産の建造物を左右に見てセーヌ下りし、観客と川を挟んで交歓し合った。
19世紀半ばの万国博覧会をはじめ、さまざまな国際大会を手掛けたフランスの演出上手だ。セーヌの環境浄化のアピールも抜け目なくしていたし、国威発揚も巧みだった。
歴史的に大国意識が旺盛なフランスが行ってきた船舶事業などはよく知られる。例えば戦前、フランスの威信を懸けて建造された豪華客船ノルマンディーは約8万㌧、全長310㍍余り。1935年、処女航海で大西洋横断の記録を作った。またフランスの飛行士モーリス・ベロントは30年、パリ-ニューヨークの大西洋無着陸逆横断飛行をやってのけた。
それに比べ、日本人は破天荒で史上初のパフォーマンスを行うというような発想自体が苦手。その表現も遠慮がすぎるような気がする。
水文化の伝統であれば東京や大阪もパリには負けていない。東京ならば荒川や隅田川、江戸川、大阪には淀川はじめ多くの川や運河がある。昔は輸送手段として、今は飲料水補給に欠かせない河川を擁する「水の都」であり、水の管理は世界に誇ることができる。
来年には大阪・関西万博が開かれるが、費用が膨らみ盛り上がりに欠けるなど、マイナス面の事情に関する報道が目立つ。世界的イベントに対する主催者の自覚や世界に向けたPRが足りないのだ。