.jpg)
もう40年以上も前だが、弊紙との単独インタビューで当時のカーライル・トロスト米第7艦隊司令官(後に米海軍の制服組トップである作戦部長)が既存のANZUS(米豪ニュージーランド)条約に日本を含めた「JANZUS」構想を提唱している。
当時は冷戦最中で旧ソ連の脅威が深刻化していた時だが、現在では中国に置き換えてもいい。南太平洋は日本の食料、資源を輸入する際の重要なシーレーン(海上交通路)だ。それだけにこの地域の島嶼国家との絆を深めていく施策は欠かせない。
このほど、太平洋・島サミットが行われた。その影の主役は中国であり、大規模な資金・インフラ援助と引き換えに台湾との断交を迫り、逆に南方を拠点に日米への影響力行使に余念がない。米国もようやくそれに気づき大使館を設置したりして回帰を見せる。
安全保障もそうだが、この地域は日本とのつながりが濃い。例えばマーシャル諸島。今年1月に国会議長に選出されたブレンソン・ワセ氏は祖父が鹿児島県・徳之島出身の日系3世だ。
さらにケーサイ・ノート元大統領の夫人は長崎県出身で、その亡き父山村要氏は同国の日系人協会会長を長く務めた。カブア前大統領の母方の祖父は神奈川県鎌倉市出身で戦前の国策会社南洋貿易会社のマーシャル支店長だった。
日系人の影響力が残る同国だが、安心してはならない。わが国だけでなく、こうした島嶼国家を支えるネットワーク構築が必要だろう。