トップコラム【政界一喝】自民よ、「確トラ」見据え党総裁選べ

【政界一喝】自民よ、「確トラ」見据え党総裁選べ

世界的選挙イヤーのハイライト、11月の米大統領選では、共和党のトランプ前大統領の当選確実を示唆する発言「確トラ」も飛び交う。同党の候補者指名全国大会(今月15~18日)は、直前の暗殺未遂を克服したトランプ氏を挙党一致で応援、決起する形で仕上がった。片や民主党はバイデン大統領が撤退表明した。党内は大統領選を半ば諦めつつ、同時に行われる下院議員選挙に焦点を移しつつあるのが実情だ。

日本の政局はこれから2カ月後、9月20日実施とも言われる自民党総裁選に注目が集まる。党のキングメーカーの1人で4月にトランプ氏と米国で面会した麻生太郎副総裁は現状、茂木敏充幹事長を推すと言われている。政権と自民党の支持率が長期低迷する中、党内非主流派で元来無派閥、もう1人のキングメーカー菅義偉前首相も求心力を発揮し、石破茂元幹事長を推すなどと言う。

投票権を持つ議員、党員ともに、いずれ党新総裁が首相となり、遠からず行う解散総選挙で勝てる顔を選ぶものだ。

立候補に必要な推薦人20人を固めようと党内で熾烈(しれつ)な水面下交渉が進む今日、「確トラ」がインパクトを与え始めた。これを発信した茂木氏は、日米貿易交渉(2018~19年)でトランプ氏から「タフ」と評された体験を同時に披露するなど、存在感を高めようと躍起だ。

だが、岸田文雄首相が米国全体の政局に鈍感で、あくまで民主党バイデン政権に偏重、追従してきたツケは大きい。かつてトランプ氏と渡り合った安倍晋三元首相は国家観を携え、世界のフィールドで日本政治としての矜持(きょうじ)を示した。茂木氏は岸田氏のもとでその矜持をやすやすと放棄し、責任が問われる1人だ。昨年末から国民不支持の政権にあった党幹部として、外交でも厳しい評価は避けられない。

石破氏は各種世論調査で毎回、他を引き離し次期首相候補のトップを行く。だが自民党総裁を決めるのは党内議員票と党員票だ。他党支持者を含む調査でメディア各社が石破氏トップを何度も報じるのは、誤った印象操作だ。自派閥の水月会を育てられなかった石破氏が、党内で議員票を積み増すにはハードルが高い。

さて、安倍政治の継承者としての片鱗(へんりん)を示す女性、高市早苗経済安全保障担当相は最近、頻繁に全国各地で満員御礼の聴衆を前に講演する。岸田首相に失望した岩盤保守勢力が、セキュリティー・クリアランス(適性評価)法成立の実績も背景に、信念ある初の女性総裁を誕生させられれば、党に刷新感も生まれる。

また、党員獲得数が3年連続で首位の青山繁晴参院議員は、参院全国比例こそ適任と、早期に総裁選立候補を表明した。弊害が露呈する派閥政治に無縁。だからこそ既得権益からの逆風に晒(さら)される。党内100人を擁する議連、通称「護る会」の代表として、腰の据わった国家観を明示する弁舌力を持つが、推薦人確保が課題だ。

「確トラ」を見据えながら、今後3年間の日本政治を実質的に方向付ける党総裁選は極めて重要だ。今日の日本政治の問題を正し、国益を最大限に引き出す総裁を選抜してほしい。(駿馬)

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