
先日、ソウルのある大学に行った時のこと。教授へのインタビューを終え、昼食を取りに構内レストランに向かって一緒に歩いていたら、車道を「シュー」という音を立てながら電動キックボードに乗って過ぎ去る若者に出会った。その颯爽(さっそう)とした姿を見て、筆者が「先生も乗ってみてはいかがですか」と聞くと、「乗り慣れないのでどうもね~」と照れ笑いした。本当は「教授」という体面が邪魔して乗らないのかもしれなかったが。
韓国では電動キックボードがすっかり定着した。地下鉄に乗るには近いが、歩くには遠い、そんな中途半端な距離を移動する便利な交通手段として20代、30代を中心に利用者が増えている。複数の民間企業がサービスを提供し、安全運転のガイドライン作成などで国や地方自治体とも連携している。原付き以上の免許さえあれば誰でも利用できる。スマホでアプリをダウンロードし、必要な登録などを終えてからヘルメットを装着して乗るだけだ。
料金体系は分当たりや距離基準などがあり、平均的なものとして「施錠解除費1000ウォン(約110円)+分当たり200ウォン(約23円)」がある。ただし、乗り終える場所は指定エリア内でなければならず、最後に認証写真を撮り忘れたり、歩道のど真ん中に乗り捨てたりするマナー違反も少なくない。飲酒運転や歩行者に追突し死亡させる事故も起きている。定着途上の日本にとって先行する韓国の現状は参考になるかも。(U)