トップコラム【上昇気流】能登復興のカギ和倉温泉

【上昇気流】能登復興のカギ和倉温泉

和倉温泉

能登半島地震では、北陸有数の温泉地、石川県七尾市の和倉温泉も深刻な被害を受けた。21の旅館やホテル全てが被災し、多くが休業を余儀なくされている。復興の遅れの背景には、業者の不足だけでなく開湯1200年の温泉の特殊事情もある。

傷ついたシラサギが海に身を浸しているのを見た土地の漁師が、温泉の湧いているのを発見したのが始まりという。和倉の名も「湧く浦」に由来する。

そのため温泉は塩分を含み、温泉旅館もほとんど海沿いにある。客室や浴場から波静かな七尾湾を望むことができるのが大きな魅力だ。

地震では旅館の護岸が崩れるなどの被害を受けた。これを復旧しなければ本格再開は望めない。ただ護岸工事となると大規模なものとなり、しかも工事現場が私有地であったり公有地であったりする。

7月1日に和倉温泉を視察した岸田文雄首相は、護岸復旧について「国としても前面に出て、適切に対応する。復興のための基盤づくりを加速していきたい」と表明した。確実に実行してほしい。建物だけでなく、湯元から温泉を送る配管設備も大きな被害を受けている。

年間80万人が訪れる和倉温泉は、能登観光の中心。観光客はここを拠点に輪島や珠洲など奥能登を巡る。「和倉の復活なくして能登の復興はない」(茶谷義隆七尾市長)ことは確か。被災家屋の公費解体などさまざまな課題があるが、それらを加速させながら復興の鍵を見極める「選択と集中」も必要だろう。

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