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来年4月開幕の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。その内容の一つが「いのちを育む――宇宙・海洋・大地に宿るあらゆるいのちのつながりを感じ、共に守り育てる」というものだ。
地球環境問題で脱炭素の方策については、各国とも経済的利害が絡むので、世界的な規制内容が割と容易にまとまっている。しかし、もう一つ「種の絶滅問題」についてはどうか。
ワシントン条約で絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引が規制され、複数の国と国際NGOが連携して密猟防止や生息地保全がなされているが、その成果は限られる。環境省によると、1975年以前は地球上で1年間に絶滅する種数は1種以下だった。しかし、現在は約4万種に上ると言われる。
農学博士の正田陽一氏(故人)は2000年当時、「『自然』には回復力があるが、ある程度以上の破壊が進めば、その力は働かなくなる」と憂慮していた。今まさに、その方向に進んでいる。
また、ブラジル・アマゾン流域の植生について「熱帯雨林というものがなくなっている。あの中には微生物や昆虫をはじめ、人間が認識していない生物種が無数にいる。それがいなくなることで後代にどれほど悪い影響を残すか、考えるとすごく恐ろしい」と。
来る万博でブラジル館の主要展示の内容は「人間、動物、森の共生」と決まった。種の加速度的減少を真っ正面から捉え、危機を世界に訴えるよう望みたい。