
古くから修験者の滝行で知られる能登半島の不動滝(石川県中能登町井田)で、今月5日、恒例の「滝開き」が行われ、参加者は能登半島地震からの復興を願った。
仏事の後、白装束に着替えた僧侶や一般の参加者が滝つぼに入り、寒さに耐え冷水に打たれながら身を清めた。
滝の落差は、約20㍍となっている。
不動滝は北陸屈指の山岳信仰の拠点として栄えた石動山(標高565㍍)の山系から流れ出る熊野川の上流にある名瀑(めいばく)。
伝承では1300年余り前に白山を開山した泰澄(たいちょう)大師が開いたとされ、修験者の荒行の場として歴史を刻んできた。
中世には、360坊3000人の規模を誇った石動山天平寺(てんぴょうじ)の修験者らに尊ばれた行場だった。
不動滝を奥の院とする真言宗圓光寺の長谷契俊(けいしゅん)住職によれば、「高さ、水量とも申し分なく、落下する水が途中の岩にぶつかり、飛散するので行には最適です」とのこと。
手に印相を結んだ参加者は、一心に合掌しながら経文を唱え、交代で滝に打たれた。
「行の最中は何も考えず、無心でした」「初めて参加しましたが、とても心が浄化され、気持ちよかった」など、参加者はすがすがしい表情で話していた。
ここでは荒行を通して法力を得た僧侶らの祈りが、営々と積み重ねられてきた。同寺に申し込めば、10月下旬まで体験できる。
(仁)