トップコラム【政界一喝】国民は危機意識に覚醒を

【政界一喝】国民は危機意識に覚醒を

7月7日投開票の都知事選では現職の小池百合子氏が3選を果たした。共産党が色めきだって応援した蓮舫氏は、広島県・前安芸高田市長の石丸伸二氏にも後塵(こうじん)を拝し3位に沈んだ。しんぶん赤旗は得票率19%で“大奮闘”などと空騒ぎし、次の衆院解散総選挙における新選挙区の東京26区(大田区と目黒区の一部)での出馬構想もあるそうだ。だが、離党した立憲民主に政党支持率4・3ポイント減(結果5・2%、NHK)という強烈な審判の置き土産も残した。政治家として根本的に出直した方がよい。

短冊に願い事を書いて竹笹に吊(つる)す風習のある七夕の日の都知事選で、小池か蓮舫かと騒がれたのは皮肉であった。それぞれ「学歴詐称」、「事前運動」という国民周知の疑いで告示後に刑事告発され、両者にはおよそ未来への希望など託し難くなっていたからだ。

蓮舫氏着用の「R」字シャツと同様な「R」シールが、新宿や池袋などで公共物に無許可で張り付けられた問題、小池氏の新宿街頭演説に「やめろ」コールの選挙妨害が持ち込まれた問題は、検察の心象を悪くした。告発状を受理した東京地検も、今後の蓮舫氏起訴に向け一歩近づいた形だ。

都知事選の選挙運動ではその他、全裸に近い女性候補者のポスターが掲示板に登場したり(警視庁が都の迷惑防止条例違反により警告の後、本人取り下げ)、政見放送中に脱衣してチューブトップになる女性も現れたりと、風紀も乱れた。

去る4月末の衆院補欠選・東京15区での選挙妨害により、つばさの党幹部らが逮捕されたことも記憶に新しい。日本の選挙運動における異様な風景の数々はSNS上で諸外国にも拡散された。選挙の在り方に危機意識を高めた日本国民も少なくあるまい。

国政での政権与党ながら、政権支持率で地を這(は)い蹲(つくば)い、推薦すら出せず小池氏への「ステルス支援」に徹した自民党であったが、同時に行われた都議9補欠選挙では8選挙区で2勝6敗(3議席減)と惨敗した。

3位に沈んだ蓮舫氏と同様の重たさで、選挙運動における数々の問題意識と併せ、敗者としての党勢評価を厳粛に受け止めるべきが自民党だ。

次の政治の最大の焦点は9月の自民党総裁選に移るが、その後の解散総選挙への顔選び、メディアジャックの戦略だけでなく、国民不支持の岸田文雄首相の退陣と、刷新感ある生まれ変わりへの処方箋提示を、自民党はセットで行うべきだろう。

くしくも8日は凶弾に斃(たお)れた安倍晋三元首相の三回忌であった。戦後レジームからの脱却を掲げ、第1次、2次政権を通じて、21世紀の日本政治を切り開いた安倍氏であったが、その内心、日本が抱える内外にわたる強い危機感に裏打ちされた強いリーダーシップであったと今日、振り返らざるを得ない。

志ある国民は各自の範囲でそうした危機意識を覚醒させ、その力を結集させることで正しい政治を実現していかねばならない。(駿馬)

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