」で最優秀賞に輝いた「都美人太陽」を持つ杜氏(とうじ)の家修さん=7月9日、ロンドン(時事).jpg)
元日の地震で大きな被害を受けた能登の酒蔵に、海の向こうから明るいニュースが飛び込んできた。ロンドンで開かれた世界最大規模のワイン品評会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の日本酒部門で、石川県能登町出身の杜氏(とうじ)が造った兵庫県の都美人酒造の「都美人 太陽」が選ばれた。
杜氏の家修(いえおさむ)さんは「これを機に全世界に広がればうれしい」と喜び、「能登杜氏の励みになれば」と涙ぐんだ。地震の際も酒蔵を離れることはできず、酒造りに励みながら家族との連絡を取り合う日々だったという。
能登杜氏は、岩手県の南部杜氏、新潟県の越後杜氏、兵庫県の但馬(たじま)杜氏と並ぶ四大杜氏の一つ。数々の酒造りの名人を輩出してきた。江戸時代後期、冬の農閑期に近畿地方へ出稼ぎに出て酒造りに携わるようになったのが始まりだ。
能登でも酒造りは盛んだ。しかし、今回の地震で全壊するなど奥能登にある11の酒蔵が全て被災。向こう数年間、地元での酒造りは困難な状況だ。
能登町の創業150年の松波酒造も木造の酒蔵と住居が全壊した。それでも無事だった酒米を使い、石川県小松市の加越(代表銘柄「加賀ノ月」)の協力で代理醸造し、純米大吟醸の生原酒「大江山 GO」を送り出した。
杜氏の故郷、能登の酒造りの灯を消してはならない。そんな思いは特に同業者に強いようだ。酒蔵支援に県内外の蔵元や日本酒の関係者が中心となってクラウドファンディングも行われている。