【上昇気流】不思議な国、古代エジプト

スフィンクスとピラミッド

かつてエジプトで特派員をしていた友人が帰国した際、「その本を譲ってほしい」と言われ、あげたことがあった。ヘロドトスの『歴史』(岩波文庫)で、エジプトのことが書いてある上巻だ。

この古代ギリシャの歴史家による記述は詳細を極めるが、興味深い一節がある。乾期になるとナイル川が増水するという現象を体験して、彼がエジプトを不思議な国だと思ったことは間違いない。

風俗習慣も他の民族と正反対だと語り、次々と例示する。そこに「排便は屋内でするが、食事は戸外の路上でする」とあり、また「小便を女は立ってし、男はしゃがんでする」というのがある。

奇妙な風習だと思い、本当かどうか疑問を持っていた。ところで先日、用事があって、東京・渋谷区にあるイスラム教のモスク「東京ジャーミイ」を訪ねた。イベントの休憩時間、トイレに行った。

男子用も長い行列で、先に進まない。そこで知ったのは、トルコ人男性は「しゃがんでする」ということだった。立って用を足すスタイルの便器はなく、個室でしゃがんでするタイプのものが二つ。

古代エジプト人と同様「恥ずかしいことは秘かにする必要がある」ということらしい。「女は立ってする」についても、太宰治の小説『斜陽』の中に、主人公の“お母さま”が月見をしつつ用を足して「しゃがんでいらっしゃらないのには驚いた」とある。明治生まれの気流子の祖母もそうすることがあったことを思い出した。

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