【羅針盤】「江戸仕草」を伝えよう

今年は梅雨に入るのが遅かったが、梅雨になると「江戸仕草(しぐさ)」を思い出す。わが国では「恕(じょ)の心」を持つこと、即ち他人を思いやる心遣いと、細やかな心配りで譲り合い、ねぎらう心を持つことが何より大事と教え、行動してきた。

子供の頃、田舎では狭い農道で擦れ違う時「どうですか」と挨拶(あいさつ)を交わしながら、お互いに内側の肩を少し後ろに引き、体を斜めにして譲り合い、いわゆる「肩引き」をした。また雨の日、傘を差している者同士が擦れ違う時は「傘かしげ」をして、お互いに譲り合ったものだ。

今、多くの外国人旅行客が日本に来て、日本の伝統や文化を楽しんでいる。そして「日本は自分の国とは違う気持ち良さを感じる」と語っている。その一つがこの譲り合いの教えで、これを「江戸仕草」と言っていろいろな日本的所作に表現されている。

東日本大震災、熊本大水害そして今年の能登半島地震での避難所で、水や食料を配る時に多くの思いやり美談が聞けた。

子供やお年寄りを先にして、自分は後ろでいいとか、並んで待っている人が先を競って列を乱すこともなく、お互い譲り合っていると。

外国では、われ先にと強者が前に出たり、スーパーの売り物は強奪される等々と比較され、日本人の思いやりの心が語られている。

しかし一方で、日本も高度経済成長と共に、都会への一極集中社会へと変わり、家族は核家族化し、近頃は「恕の心」を感じない光景に出会うことも多い。どこかの国のように、自分さえ良ければ、自分のためなら、他人にどんな迷惑をかけているかさえ気にしない若者が増えている。

通勤途中の歩道で高校生と擦れ違う。高校生は2、3人が横になり話しながら進んでくる。私は「七三の道」をとり「どうぞ」という気持ちで内側の肩を引く。高校生は気に留めた様子はなく、そのまま進んでくる。電車に乗り込んだら、1人分の席が空いている。「すみません」と言って座ろうとしたが、隣の若い女性はスマホのゲームに夢中で「こぶし腰浮かせ」をする気配はない。

これらは戦後レジームと言われる、連合国軍総司令部(GHQ)の対日政策かと思う。しかし、まだまだ外国人が驚く日本の伝統・文化「江戸仕草」は生きている。戦後レジームから脱却するためには、「憲法」改正しかないと思う。今こそその時だと。(呑舟)

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