【上昇気流】きょうは「サラダ記念日」

短冊

若い世代に短歌がよく詠まれるようになり、歌を作る人も増えていると聞く。その先駆けになったのは、歌人の俵万智さんが1987年に出した歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)だろう。

分かりやすい口語の表現で一大ブームを巻き起こした。発行部数も260万部を超えたと言われている。この歌集がきっかけになり、それまであまり短歌に関心がなかった世代に短歌を詠むという風潮も生まれた。

一時、俵さん風の口語短歌が流行(はや)ったほど。ただ、伝統的な表現から外れていたので、歌人の中にはかなり戸惑っていた人もいた。ある短歌の結社の歌人が「ああいう歌は評価できない」と言ったという話もある。

いわば、キャッチコピーのような印象を与えたのである。出版界では、詩歌の本がベストセラーになることは期待されていない。そのために『サラダ記念日』の出版に当たっては紆余(うよ)曲折があった。

俵さんは角川短歌賞を受賞するなど評価は高かったが、歌集が売れるとは思われていなかった。なので、俳人としても知られる角川書店社長(当時)の角川春樹氏も、出版を見送ったほど。後に、この決断を春樹氏が後悔したことはよく知られている。

『サラダ記念日』がベストセラーになったことによって「記念日」という言葉も流行した。本の標題となった歌は「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」。それできょうは「サラダ記念日」となっている。

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